福島原発 放射性物質の流出と海洋汚染

Publié le par francemedia

3月30日付 Le Monde

 日本政府は警戒状態にある。プルトニウムが福島原発の土壌から発見され原発の現状に関する不安が広がる一方だが、東京電力は相変わらず難解な情報を少しずつ「水滴のように」公表し、それはまさに同社の危機管理の不徹底さを象徴している。「東京電力は、原発敷地内5カ所で見つかった3種のプルトニウムは健康に害のない濃度としているが、この放射性物質がどこから漏れているのかも分かっていない」とル・モンドは批判する。
 日本原子力安全・保安院はサンプル採取したプルトニウムが1キロ当たり0,18から0,54ベクレルだったことから、「健康に害はないレベルとは言え、(燃料を搭載している)気密構造に亀裂があることを意味する」と認めた。
 放射線に関する独立情報研究委員会(Criirad)のロラン・デボルド委員長によれば、プルトニウムは重金属のため大気中には散乱しないが、雨などで海中に流れ込むと連鎖的な食物汚染を引き起こす危険性があると予測する。また、IRSN(仏放射線防護原子力研究所)のシャルル局長も「プルトニウムの存在は燃料が溶融している証拠」と解釈している。
 また同紙は、1から3号機内で発見された高濃度の放射線を含んだたまり水について、「燃料冷却のために巻かれた水が原子炉圧力容器から漏れているのか? それとも炉心の熱が構内で水蒸気となったのか? 水素爆発後に開いた屋根の穴から燃料プールへ向かって放水した水が構内にあった放射性物質を運んでいるのか?」などの仮説を立てているが、現時点では知るすべはない。原子炉の冷却システム復旧のためにたまり水を排除しなければならないが、原発内には膨大な汚染水を貯めるのに十分な場所がなく、最も水漏れが多い1号機では土嚢やセメントを使って海洋への流出を止めようとしている。今後東京電力は、放水による原子炉の冷却作業を続ければさらなる汚染水の拡散を招き、放水を止めれば炉心の温度が再上昇し始めるというジレンマに襲われことになる。
 IRSNのシャルル局長は、「炉心が真水で冷却され始め、燃料貯蔵プールの温度も安定している。この状態を維持できれば、局地的な放射能汚染を除いて30キロを超える範囲で危険なレベルの放射能流出は押さえられるだろう」としている。
 国会で避難区域の拡大について野党から質問を受けた菅直人首相は、「20キロ圏内ですでに7万人に及んでいる避難者に加え、区域を30キロに広げさらに13万人を避難させることが可能か検討中」と答えた。
 放射能汚染について仏原子力安全機関(ASN)のラコスト事務局長は、「原発から30キロを超えた場所で「斑状の汚染」が発生している」可能性を示唆し、より厳密な放射能測定を駆使して汚染地域を割り出す必要性を語る。チェルノブイリ事故後、雨雲によって放射能が「ヒョウ柄」のようにに広がって行ったことが分かっている。
 また同紙は、先週末から高い数値が計測されている福島原発沖の放射能汚染にも言及し、「風によって原発から流れて来る放射性物質と、放水によって原発から直に流れ出した放射性の強い排水」が海洋汚染の原因としている。第3号機原子炉を冷やすだけで4000立方メートルの水が使われたという。「この量の水が原発内に流れば、当然放射性物質は地上から海中へ流れ出し、大気中に流れ出して地上に落ちた物質も雨で海へ流される」とIRSNのシャルル局長は語る。
 日本の原子力安全・保安院によれば、「生態系と人体には影響はない」としているが、同じくIRSNの研究員であるドミニク・ブース氏は、「海洋に満遍なく汚染が行き渡っているとは限らないので、今後も警戒が必要である。また、波によって汚染された海水が押し寄せる海岸沿いが最も危険」という。また同研究員は、「海藻類はヨウ素を吸収するため、摂取を控えた方が良い。ヨウ素131の半減期は8日間だが、セシウム137に関しては30年のため訳が違う」と付け加える。しかし、IRSNによれば、「海洋汚染は大気汚染よりもコントロールし易い」という。食品に関しては消費を禁止すればすむことだが、呼吸することを禁止することはできない。
 全ては今後の福島原発の状況次第で決まる。しかし、東電がこの状況を制御する技術と方法を持っているかは誰にも分からない。仏放射線に関する独立情報研究委員会(Criirad)は、ヨウ素やセシウムの他に、トリチウム、ストロンチウム、ヨウ素129、プルトニウム流出による海洋汚染も懸念しているが、現在これらの物質の数値は分かっていない。


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