福島:日本の故障、欧米の好意

Publié le par francemedia

*リベラシオン紙 4月01日 マリー・エレーヌ・ラベ(パリ政治学院(IEP)講師)の署名記事の抜粋:

 

日本の原発に対する欧米の好意は広島と長崎への爆弾投下に対する罪の意識と適合する。歴代のアメリカ大統領は日本国民への公式の謝罪を避けてきたが、この「原子力の罪」は1945年以降の日米関係とマッカーサー元帥率いる駐留軍下での復興の背景となっている。

 

2つの核爆弾攻撃を受けたこの国は核兵器製造を放棄している。1967年佐藤内閣は非核3原則を宣言した。それは核兵器を製造しない、保有しない、輸入しないという原則である。核爆弾投下と核兵器製造否認の許しを請う為かアメリカ人は産業用原子炉の供給を選んだのである。

 

日本はアメリカとフランスに続き、核爆弾を持たない世界一の原発保有国となった。そして、この歩みの中で日本は唯一の核燃料サイクルを支配できる核非有国になるという悲願を達成したのである。ウラン濃縮は自国の方式で、使用済み核燃料処理はフランスの援助によっている。

 

欧米の好意は日本での検査面にも表れている。他の核非有国のように国際原子力機関(IAEA)による同じ検査に従う代わりに、商業パートナー国のように簡単な検査を受けるのみだ。1976年に批准された核拡散防止条約に加盟することで、IAEAによる検査においてヨーロッパと平等な待遇を獲得したのである。但し、ヨーロッパの国々はこれとは別に欧州原子力共同体(EURATOM)の支配下に置かれている。

 

日本側では怠慢と隠し事が優勢である。あらゆる核爆発を回避する模範的な安全の素養を身につけているはずだった。残念ながら、日本の原子力産業の歴史は隠された手落ちの連続である。隠匿はあらゆるレベルで見られる。技術者が上司に隠し、上司は発電所所長に隠し、所長は安全・保安院に隠す。基本は、修正された間違いと解決された故障が注意深く抹消されることであり、発見され確認されたすべての故障は報告書には載らない。今日まで、絶大な権力のある東京電力の原子力施設はうまくいっていた。競争力は維持され、良い成績を上げ、まるでゴスプラン(ソ連国家計画委員会)時代のようだった。

 

最初の視覚的な衝撃、それは自然の氾濫。地震がすべてのきっかけとなり、津波によって予備システムが止り、原子炉で爆発があった。2番目の視覚的衝撃、それはホースを持って火事に立ち向かう白いシルエット。炉心溶解を抑える為に命を危険にさらす放射線に支配された作業員たち。ロボット先進国で職人の逆襲。そして、福島が作り出す3番目の衝撃。地球規模で原発を見直すべきではないかという議論が起こった。アンゲラ・メルケル首相(ドイツ)は原子炉の使用期間延期に対する停止を表明し、フランスは原子力輸出への潜在的な影響を考慮し、「軽はずみな決定」をしないよう呼びかけた。

 

福島は一般の人々の原子力に対する恐怖を呼び起こした。この効果は発展途上国より先進国でより鮮明となっている。欧米では万一の場合、安全保安機関に擁護された世論が現存する原子力計画の再評価を促す。

その反対に、民主主義が未発達の国では原子炉の注文を変更することはないだろう。

役に立たないIAEAにとってかわる独立した検査機関と安全の新しい国際基準なしには、福島の教訓がチェルノブイリより人々の記憶に残ることはないかもしれない。次の原発事故が発展途上国に起こることも大いに考えられるのだが。

(KS)

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