安全性検査「ストレステスト」始まる 仏国内原子力施設

Publié le par francemedia

5月11日付 Le Monde

 

 5月11日付ルモンド紙は、フランス原子力安全機関(ASN)が国内原子力施設の主な事業主であるフランス電力公社(EDF)とアレバ社に対し、今年の9月15日までに各施設の安全報告書を提出するよう命じたと報じた。福島原発事故発生後、欧州委員会は欧州全域にある原子力施設の「ストレステスト(安全性検査)を行うことを決定。サルコジ大統領はフランスでも独自に国内施設の検査も行う方針を決め、フィヨン首相はASNに対して2011年末を目標に検査が終了するよう指示していた。
 しかし、この「ストレステスト」はあくまでも既存の基準に従って行われるもので、原子力施設の安全評価基準の設定し直しや、テロ攻撃などに対する施設の耐性を検査したりするものではないという。ASNのアンドレ・クロード・ラコスト総裁はルモンドの取材に対して、「4ヶ月という短期間でテロの危険性を考慮にいれた真剣な研究を行うのは不可能」で、国家機密が伴うテロ対策は「原子力関連情報の透明性とは別に考えられるべきだ」と語る。
 今月12日と13日には欧州全域143機の原子炉を対象にした欧州委員会によるストレステストの義務規定が公表される。ルモンドによれば、フランスでは2つの新しい検査項目が付け加えられる。原子炉だけでなく国内150の関連施設全体を対象に検査が行われ、下請け会社への業務移譲といった「組織的、社会的、人間的要素」も考慮されるという。
 すでに、EDFが所有する58機の原子炉とフラマンビル(マンシュ県)で建設中の新型欧州加圧水炉に加え、アレバ社が運営する核燃料再処理工場(ラ・アーグ)やメロックス社のMOX燃料製造工場など、事故が発生した際重大な影響が予想される施設が最優先の検査対象として挙げられている。その他、原子力庁(CEA)が持つ核融合炉(ITER)などの実験施設も検査対象に含まれる。
 同紙によれば、国内の原子力事業者は今年の9月までに、「強度の地震、洪水、嵐、そしてこれらの自然災害が同時発生した場合の施設の安全性を再評価」し、「建設当時の想定を超える規模の災害と、施設保全機能の喪失を前提」にした検査を行わなければならない。事業者からASNへの検査報告後、年末にかけてASNによる審査が行われる。ASNのラコスト総裁は、不備が指摘される際には「安全面での追加措置が求められる」場合もあり、最悪の場合、「施設閉鎖」の可能性も示唆している。
 しかし、すでに国内の反核団体からは「核廃棄物の輸送や、チェルノブイリ事故の原因となった人的要因、故意による過失、航空機の墜落などが考慮に入れられていない「騙し絵」のようなもの」、「ストレステストではなく、審査後、また堂々と原子力を続けるための「アリバイテスト」だ」との批判が出ている。

参考記事:
"Quatre mois pour passer au crible la sûreté des installations nucléaires françaises", Pierre Le Hir, Le Monde, 11/05/2011

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