事故被害に関する消極的な透明性

Publié le par francemedia

5月20日 Le Monde/Le Monde.fr

 仏ルモンド紙ウェブサイトLe Monde.frは、同紙東京特派員の分析記事として、福島原発事故発生から2ヶ月以上が経過した現在、東京電力と原子力ロビーに迎合して来た専門家達が少しずつ透明性のある情報を伝えるようになったと報じている。
 日本政府の枝野幸男内閣官房長官も、今月24日から来月6日まで行われる国際原子力機関(IAEA)の事故調査団来訪の際に「情報の透明性を可能な限り保証する」と述べた。
 同紙は、「16日に東京電力が公表した文書によれば、マグニチュード9の地震が東北地方を襲った際、すでに原発内が混沌とした状態だったことが分かる」と語る。この報告書によれば、国内大手マスコミが報道してきた東電と公式専門家達の主張とは裏腹に、原子力事故は津波の到来前にすでに始まっていたことが分かるという。「世界で最も厳しい基準で建設されたはずの発電所は地震に耐えられず、津波はその状況を悪化させただけ」と同紙は語る。
 さらに、東電が主張していた「圧力容器は無傷で、炉心は部分的に溶けている」という報告は見事に間違っており、危険な状況を示す現実とはかけ離れていた。余震が続く中、半年から9ヶ月の間に事故を終息させるという目標は、この新報告によってさらに不安定なものとなるだろう。

 現在日本人が心配しているのは放射能汚染の現状である。文部科学省は全国各地で放射線測定を行っているが、ウラン濃縮の専門家である中部大学の武田邦彦教授は「地上から18メートルの場所で行われている測定方法に問題がある」と批判している。武田教授によれば、「人間の被曝程度を知るには地面で測定を行うべき」という。ルモンド紙は、「地上で測定すれば、より高い放射線が観測されるだろう」と述べる。
 
 最も批判の的になっているのは食物汚染である。牛乳や葉類の野菜から多量の放射性物質が見つかっているにも拘らず、全ての食品に販売禁止の措置が取られているわけではない。政府は、5月末までに原発から北西40キロに広がる最も汚染された地域の住人達を避難させるとしているが、管首相は一年間の放射線被曝許容量を20ミリシーベルトにまで上げる決定をした。放射線防護の専門家である東京大学の小佐古敏荘氏はこの決定に反対し、内閣参与の職を辞任している。
「原子力で働く労働者でさえ、一年間に20ミリシーベルトという放射線は浴びない。学者、人間として子供がこの量の放射線を浴びる事は受け入れられない」と、小佐古氏は記者会見場で涙を流し政府を糾弾。さらに同氏は、「放射能拡散予想システムSPEEDIの起動を意図的に遅らせ、国民への情報発信を怠った」と政府を非難した。

 小佐古氏も元々は原子力推進派の一人だった。事故以前、同氏は「原発震災」の危険性を訴えていた地震学者の石橋克彦氏の批判も受けていた。事故後に発言を一転させたのは小佐古氏だけではない。原子力安全委員会の班目春樹委員長も推進派の一人で、以前から石橋氏の仮説を真っ向から否定してきたが、事故後4月1日にようやく福島原発事故の危険性を認めた。さらに5月20日、班目委員長は記者会見の場で、「(20ミリシーベルトの問題について)誤解があった。放射線への露出は最大限に制限した方が良いと言いたかった。政府の情報が20ミリシーベルトまで許容して良いと理解されてしまった」と語った。

"Timide transparence sur les conséquences de l'accident de Fukushima", Philippe Mesmer, 20/05/2011 Le Monde.fr

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