退職者たちの福島
*6月6日付けヌーヴェル・オプセルヴァトール(ロイター共同)が原発処理を志願する元技術者たちをレポートした。以下はその抜粋。
「癌に罹る前に死にますよ」福島第一原発の処理作業をする為のボランティア270人を集めたヤマダ・ヤステルさん72歳はこう言う。
この退職したエンジニアはまだ元気に過ごせる時間が残っていると考え、放射能が健康に及ぼす影響を恐れない。彼をかき立てるのは報酬ではなく、義務感からだ。
28年間住友金属工業で働いたこの男性にとって事故原発の処理は、東電ひとりに任せておくことができない程深刻で困難な作業である。
彼は政府当局がシニアのボランティアと共に作業を引き継ぐのが良いと考えている。
当初、政府は彼の申し出に対して冷ややかな反応を取った。首相補佐官のひとりは「自殺行為のボランティア部隊」と呼び、このアイデアを否定した。
その後このアイデアは賛同者を得て、5月末には同じ細野豪志首相補佐官が事故原発に動員されている若い作業員の健康上の危険についての東電幹部との会合時に理解を示した。
先週末、高温により3人の作業員が体調の不調を訴え、2人の作業員はすでに基準を超えた放射線量を被曝した。
「問題は、最初に動員された作業員は報酬の為に集まった人たちでしたので、労働条件に対して全く苦情を言いませんでした」と安全を主張するヤマダさんは言う。「私たちはその反対です。私たちはボランティアですから、東電と同じ立場で話ができます」
イシダ・カズヒコさんは63歳の元土木作業員、ヤマダさんの呼びかけで集まったひとりである。若い時、彼は福島の原子炉1号機の建屋の建設に携わった。
今、彼は水素爆発によるこの建屋の破壊に対して複雑な心境にある。
「事故原発に戻る決心を家内に伝えたところ、『あなたがしなければならないと思っていることをして下さい』と言われました」とイシダさんは言う。
ヤマダさんは6日、原子力安全・保安院を管理下におく海江田万里経済産業相と会談し、経産相はこのボランティアを基本とする趣旨に賛同した。
http://tempsreel.nouvelobs.com/actualite/monde/20110606.REU1590/des-retraites-japonais-prets-a-intervenir-a-fukushima.html