福島、非難すべき沈黙

Publié le par francemedia

*ル・モンド紙 3月26日13時59分(日本時間21時59分):

 

十分な情報を得られず、深刻さを推し量ることができない状態で、事故の危険を段々意識するようなった多くの日本人は、新聞雑誌の記事や民放テレビで放送される原子力専門家の証言を通じて、以前より不安を抱くようになっている。この惨事の吐き気を催させるような背景が今浮かび上がってきたのである。「原子力ロビー」と呼ぶ権力が。

財力と権力の心臓部は原子力の政治を牛耳っている経済産業省で鼓動している。その下部組織が電力会社連合、原子力安全・保安院、原発の建設産業グループである東芝と日立、そして原発の事業社である。

電力会社に天下りした原子力関連機関と官公庁の官僚を擁するこのロビーは情報を塞ぐことに手腕を発揮する。原子力は完璧に安全であるということを保証する為に新聞雑誌やテレビの大々的なキャンペーン広告に出資する。

2009年の新しい与党の登場もこの構図を変えることはなかった。日本民主党は「連合」の勢力を基盤にしており、その中心は原子力に非常に結びついたエネルギー・セクターの労働者をまとめる部門なのである。

省庁、監視機関、原発建設会社と事業社の間での大規模なこの共謀行為は、反対派の口を塞ぐだけでなく原子力に関するすべての疑問を撤去する。資料で立証された証拠が足りないわけではなく、怠慢と省略による欺瞞、あるいは純粋なる改竄によって撤去するのである。この手口は、日本に原子力が導入された1970年代からの事故隠蔽に対して電力会社10社が問題視されたことから2002年に公になった。福島原発を所有しその事業社でもある東京電力は最もやり玉に挙げられた会社である。

今回、東京電力の元社員の証言が加わる。しかし今のところ、この暴露は背筋を寒くさせる。もしそれが事実を反映したものであれば、東京電力そして同業会社が長期的な安全の絶対的必要より目先の利益を優先させ、地震が多く津波もある国での危険を十分には考慮していなかったように見える。

福島原発は、1956年のチリ地震で発生した津波を参考にして5,5メートルの波に耐えるよう考案されたものである。原子炉は地震に耐え、自動的に停止した。しかし、十分防御されていなかった冷却装置が動かなくなってしまった。福島原発の設計に参加した東芝の2人のエンジニアは、東京新聞によると、「低すぎる危険」が計算の基本として採用されたと考えている。

心ならずも、経済長官は「危機状態を脱したら、東京電力の管理状況を調査しなければならない」と認めた。もちろんだ。しかしその間に一体何人の犠牲者を数えなければならないのだろう?

地震が起きた時に福島原発にいた原子力の世界でリーダー格のフランス企業アレヴァの8人の社員はすぐに危険を察知し、一番に現場を離れた。アレヴァは一度もクライアントである東京電力の原発が危険をかかえているとの懸念を発したことはなかったが。

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