佐藤栄佐久前福島県知事インタビュー(仏ル・モンド紙)

Publié le par francemedia

3月29日付 Le Monde

 

 仏ル・モンド紙は29日付紙面で、1988年から2006年まで福島県知事(当選5回)を務めた佐藤栄佐久氏のインタビューを掲載している。元外交官で衆議院議員でもあった佐藤氏は任期中に小泉純一郎元首相の改革政策に反対し、東京電力福島原発に闘いを挑んだことでも有名である。

 インタビューの中で佐藤前知事は、「2002年、福島第一原発の原子炉2機で炉心を包む部分に損害があるとした検査報告を東京電力が改ざんしたことを認める原子力安全・保安院の書類を受け取った。東電と原子炉の機能を監視することが目的の保安院が、その事実を2年間も秘密にしていたことは受け入れがたいことだった」と語る。この不祥事により福島原発では第1号機が運転停止され、その翌年には東電管内16の原子炉が検査のため停止された。前知事は、「今回の危機が発生するまで改ざん問題が頭から離れなかっだが、恐れていたことが現実となった。」と語る。さらに前知事は任期中の2000年以降、東京電力の下請け会社社員から「原発の安全基準が守られていない」という内容の内部告発を20通以上も受け取っていた。下請け会社の社員達は労働条件の悪さを理由に自らの安全に不安を感じてお り、原発内の検査作業も指針が決める2倍のスピードでこなさなければならなかったという。前知事は「(告発した人の)氏名を伏せて保安院に手紙の内容を伝えたが、2006年に知事の任期を終えるまで返答はなかった」と証言する。
 また佐藤前知事は、同紙の「今回の原子力危機は東電の責任か?」という質問に対し、「今回の大災害は人間の不注意過信によって引き起こされたもの。経済産業省から独立した監視機関を設置することが数年前から叫ばれているが、現時点では監督官庁は原発建設を推進するための行政機関でしかなく、(原発に対して)監視の目を光らせることができない。日本は民主主義国家と言われているが、それはある程度までで、多くの決定が不明瞭な利益算段のために行われ、また多くの分野が汚職によって生まれている」と語った。

 

インタビュー:Philippe Pons Le Monde 東京特派員

"La catastrophe actuelle a été provoquée par l'imprudence des hommes", Le Monde, 29/03/2011

(仏語記事からの和訳抜粋)

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