東京電力は広がる大災害を止められるのか?

Publié le par francemedia

3月29日付 仏ル・モンド紙報道 Le Monde

 

 29日付の仏日刊紙ル・モンドは、「福島第一原発は制御を取り戻し、これ以上の被害を押えるために希望は残されているのか?それとも、もはやこの大災害を止めることはできないのだろうか?」と問う。また、「毎日のように報告される東京電力の無力さを見ると、まさに同社が完全な驚愕状態にあり、事態の進行を止めるものが何もない印象を受ける」と同紙は述べる。
 そんな状況の中で、東京電力はフランスの原子力産業複合企業アレバ社へ支援を要請した。28日アレバ本社は「東電とは今回の事故が始まってから連絡を取り合っていたが、昨日から状況が急展開した」と公表。数日前、フランス電力、アレバ(仏)と仏原子力庁が共同開発した作業用ロボットなどを積んだ支援機材を日本政府が断ったばかりである。
 さらに東電は第2号機のタービン室から見つかったたまり水の放射線濃度を間違って発表し、日本政府から非難を受けたことも混乱の材料となった。
 同紙によれば、2009年に日本の地理学者達は東日本海岸で1896年と1933年に発生した津波(各38メートル、29メートル)を例にとり、大津波発生の危険性を警告していたという。しかしその警告は全く考慮されず、原発の防波堤は1956年のチリ地震をモデルにした5,5メートルの波にしか耐えられない構造のままだった。
 2号機近辺で発見された高濃度の放射線を含む水たまりについて日本政府は、「溶けた燃料棒が原子炉の冷却水に触れたのが原因」としているが、2号機と3号機の隔離外壁が気密性を失っている可能性も否定できない。
 先週末、東京電力は「燃料棒を搭載している圧力容器が破損している可能性がある」としていたが、その後「その可能性は薄い」と見解を撤回した。
 東京電力は、緊急に通常の冷却システムを復旧させるだけでなく、タービン室に溜まった汚染水を汲み出さなければならない。仏放射線防護原子力研究所(IRSN)の計算によれば、この水に接触すると毎時1シーベルトの放射線を浴びる事になる。これは一般の人が一年に浴びて良いとされる量の1000倍だ。さらにIRSNでは、溶融生成物コリウムが発生してコンクリートと反応することで圧力容器が破損する可能性についても分析中である。
 IRSNのティエリ・シャルル原子炉局長は、「4つある原子炉を冷やすことか、放射能を含んだ汚染水が海に流れるのを防ぐかのどちらかを選択しなければならない」と語る。原発から30メートルの海中からは通常の1150倍の放射性ヨウ素が計測される中、東京電力の武藤栄副社長は28日、この危機が終わるまで「現時点ではあと何ヶ月または何年かかるのか分からない」と漏らした。

参考記事

"Tepco semble incapable de gérer le désastre en cours" Le Monde, 29/03/2011

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