「高リスクの原発を即停止すべき」石橋神戸大名誉教授インタビュー

Publié le par francemedia

4月15日付 Le Monde

 

 15日付ルモンド紙では神戸大学石橋克彦名誉教授のインタビュー記事を掲載している。石橋教授は1944年神奈川県生まれの地震学者で、専門は地震テクトニクス。日本の原発の地震に対する脆弱性を訴えていた数少ない地震学者の一人で、大地震により原子力発電所事故が発生する「原発震災」の危険性に警鐘を鳴らしていた。
 
 「今回の福島原発事故は「原発震災」の一例か?」
 –私が予想していたシナリオは核爆発が起こるより最悪なものでした。私にとって福島原発事故は1945年の敗戦のような歴史的な出来事です。日本人は危険性を過小評価しながら原子力に賭け、そして負けたのです。現在昭和に関する書物を読んでいるのですが、現在の問題は太平洋戦争を思い出させます。(日本の)原子力の推進者達は一流校を出た当時の軍将校のように振る舞いエリート層を作り上げていたのですが、目の前の現実から目を背け、客観性を持ち合わせていなかった無責任な人達だったのです。そして、日本は敗れました。今回のケースについてなぜ国際社会はもっと日本に対して批判的にならないのか不思議です。

 「なぜ地震の危険性に関して意識されて来なかったのですか?」
 –いくつかの理由があります。最初の原発建設計画が始まった50〜60年代は現代地震学、津波研究、そしてプレート理論と断層構造の研究が始まった時期に当たります。日本ではその後40年間比較的大きな地震が起こらず、原子力関係者達は国の発展に貢献しているような感覚になっていました。このような背景があり、今なお原子力技術は完全に制御されておらず、地震構造についてもよく理解されていないにも拘らず、危険は過小評価され、地震史は無視され続けています。原発はしばしば地元当局を説得し易いという理由だけでリスクの高い場所に建設されました。
 
 「今日の原発における地震の脅威は?」
 –1995年の神戸大地震から日本は強度の地震活動期に入りましたが、(今回の大地震までは)我々は幸運でした。2005年から2007年にかけて3つの地震が3カ所の原発周辺で起こりましたが、3回とも地震による加速度が原発建設基準を超えるものになりました。最後に起きた2007年の新潟中越沖地震はマグニチュード6.8で、993ガル(重力加速度)という加速度を記録しました。震源からそう離れていなかった柏崎刈羽原発は最高450ガルをもとに建設されていたため深刻な被害を受けました。もし地震の中心が原発により近くマグニチュードが7.5を超えていたらより重大な結果を招いていたでしょう。その後原子力安全・保安院と原子力安全委員会は原発の強度強化を命令しましたが、結局活断層の存在を無視したまま原子炉再起動の許可を出しました。
 福島原発事故については津波が原因とされていますが、(地震の際発生した)亀裂を観察すると、地震自体そして恐らく液状化現象が原発の構造と配管に被害を与えたのではないかと思われます。

 「日本には55の原子炉が存在しますが、どうすれば良いのでしょう?」
 –間違いは認めなければなりません。原子炉は操業30年を過ぎたら停止すべきです。もしそうしていれば、福島の事故は起きていなかったでしょう。さらに、地震史と建設地域を考慮に入れ基準を見直す必要があります。日本のエネルギー政策は「戦後」のように再考されなければなりません。
 同時に、長距離に及ぶ断層の上にある浜岡原発のようなリスクの高い発電所を即刻停止し、現在進行中の計画をストップすべきです。日本では断層がない場所でもいつでも大地震が発生する可能性があります。
 「原発震災」の危険性は現実のものです。宮城県沖で4月7日に起きた余震に似たものが福島原発付近で発生し、新たな津波を引き起こすという事態は十分考えられます。そうならないことを祈るばかりです。

"Il faut de toute urgence arrêter les centrales à haut rique", Le Monde 15/04/2011



 

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