サミットでの原発問題
*5月25日付けヌーヴェル・オプセルヴァトール(ギヨーム・マロリー記者)がエネルギーと原子力政策に関する独立コンサルタント機関(WISE-Paris)代表マイケル・シュナイダー氏にインタヴュー。
G8サミットは、福島後の原子力エネルギーの将来を検討することになっています。何故この問題を議題に取り上げたのでしょうか?
ー 私の知るところでは、ドイツがフランスの政策と異なるようになったことも含め、サルコジ大統領が日本の首相にこの議題を取り上げるよう説得したのです。福島事故以前すでに弱体化し今回根底から揺さぶられた原子力計画の名誉を回復しようとする考えです。
日本政府は原子力の選択を再確認したところです。
ー日本の首相が言っていることは、日本で今起こっていることについての正確な現実を理解していません。日本では今11基の原子炉が停止しているのです。その内の3基は2007年から。そして最近の5月9日の浜岡原発の2基の再運転の放棄は、核に対する日本の不安を象徴しています。これは1971年から74年に建設された古い福島原発型とは違うのです。浜岡原発は2005年に運転を開始した新しいもので、この断念は事業者である中部電力の新しい地震対策の為の財力不足もその要因となっています。それで菅直人首相はサジを投げたのです。
アメリカ側からも、あなたは同じ不安を感じ取っておられますね。
ー原子力計画を維持していくという政府レベルの声明ではそのような面はありません。しかし、良く見ることが大切です。ワシントンは長期にわたる原子力発電のクレジットを保証するために185億ドルの予算を計上しました。ところが使われたのは85億ドル弱です。5年前からアメリカでは計画がないのです。最も進んでいたサウス・テキサス・プロジェクト(STP)は放棄されてしまいました。
どうしてですか?
ーいつも同じ理由からです。財政リスクがますます越え難いものになっているのです。ドイツの銀行が半官半民だった時代、原子力発電にとっては2,6%だった利子が過去のものとなってしまいました。フランスではアレバの置かれた状況を見ればお分かりでしょう。評価機関はますます厳しくなり、採点を下げようとする。もしフランス政府の保証を考慮した「状況による成績」との平均累積ではなく、アレバの企業としての健全さへの採点のみを見れば、仏原子力産業にとって大きな危険があることがおわかりになるでしょう。それは財界を誤らせる去る12月の銀行資本再構成ではありません。福島財政の危険をはっきり申し上げます。
あなたご自身は独立コンサルタントですが、日本での大災害発生以来、原子力企業に大きな投資資金がまた戻ってきたとお考えですね。
ーはい、確かに。そのことに一番驚いているのは私です。福島後にこれらの基金は目標を失ってしまいました。この原子力発電界に関わるリスクは非常に大きいと認めたのです。それ故、どこまで資金をつぎ込むべきか、あるいは引き上げるべきかを知ろうとしています。アレバがアメリカでの原発プログラムを無期限に断念したことや、フランス電力が同じくアメリカで10億ドルの損失を出したことを思い出して下さい。
にもかかわらず、皆が、少し前には中国やインド市場との新しい黄金時代と廃れていたイギリスの原発の再生を取り沙汰しました、、、
ー皆とは誰のことですか?まず言えることは、ヨーロッパが20年来、原子力に関して目立たないようにしてきたことです。稼働原子炉数が最も多かったのは1989年で、177基ありました。それから数は減少に向かいました。現在は143基です。ドイツの離脱(8基が停止)もこの傾向を強めています。2基のEPR(Evolutionary Power Reactor 第3世代原子炉:フィンランドとフランス)が坂道をまた昇るのに貢献できるかどうかは疑わしい。イギリスに関して言えば、資金をどのように調達するつもりなのか、特に原発の再生のために金融市場でどの料金を適用するのかが気になります。
後は中国が原発計画を続けることですが。フランス電力が建設するEPRから始めて、、、
ー今建設中の60基のうちの27基は中国にあります。しかし、福島原発事故が起こって最も早く反応したのは北京でした。まずすべての計画が凍結され、建設中と稼働中の全原発についての審問が行われることになりました。より重要なのは別の面です。中国の再生可能エネルギーに対する努力は注目に値します。中国では今年から原発による発電量より風力による発電量の方が多くなったことをご存知ですか?太陽熱エネルギー計画についても言及したいところですが、、、
ではあなたはドーヴィルで行われるG8サミットでの原発についての議論に期待してはいらっしゃらないのでしょうか?
ーG8やG20サミットで産業関係の決定が行われる事は稀です。ここでは、福島によって非常に悪化した原発のイメージを立て直そうとする場になると考えています。
http://tempsreel.nouvelobs.com/actualite/planete/20110524.OBS3850/le-nucleaire-au-g8-l-improbable-rehabilitation-apres-fukushima.html